2017年7月8日土曜日

そして現在に至る

タイトル-そして現在に至る-
(字が読み辛い場合、コチラに文字大きい版があります)




 見上げれば、雲の少ない青い空。
 もう幾分も前から見飽きてきた黄土色の砂。
 何もないとも言える砂漠を、Re:MOKONは1人で歩く。こんな名前だが長髪髭もじゃ、誰がどう見ても原人と評する男である。
 しっかし熱い。まぁ熱い。何度でも言うが、すこぶる熱い。逗留していた町でもらった、帽子に布をくっつけたようなコレがなかったらぶっ倒れていたかもしれない。影を持ち歩けるってやっぱ偉大だなぁ、と思いながらRe:MOKONは歩を進め続ける。歩きづらい。本当に一日で歩いて行ける距離なのだろうか。町の人たちは笑っていってたけどどうなんだコレ。っていうか歩いたことあんのかあの人等。大丈夫かコレ。いやまぁテントと寝袋あるから最悪どうにかなるけどしかし。
 ......。あ、アカンこれ。脳がゆだってる思考がオーバーフローとか空回りとか、なんかそういうやつ。休憩しよう。
 煙草を巻いて、まぁ一服。
 旅の方は、そこそこ順調。




 奇特な人物もいるもので、砂ばかりのこんなところにも人がる。それを言ったらRe:MOKONも奇特な人なのだが、彼は自分が奇特......悪く言えば変なヤツであることを、まぁ自覚している。目的地が近づいてきた、ってことでええんかな? 道でも聞こ。だなんて考えている始末だ。
 近づくにつれ、結構な人数がいるらしいことが分かる。どうにも言い争い中らしい。こんなとこで天幕1つ椅子1つでよーやるわ......。話に割って入るのも何なのでと、とりあえず静観することにした。
 どうにも債権者が債務者に対して文句を言っている、という場面らしい。いやしかし大勢で1人に対してがなり立ててるってのは、なんかこう、見てて気分悪い。大声あげるだけじゃ話進まんやろう。とだんだん苛立ち始めRe:MOKON。
 ......。うん。仲介入るか。とりあえず第三者が入ったらみなさん落ちつくだろう。キレてるだけじゃなんにもならない。とりあえずこの人等を落ち着かせる、と。
 いざやると決めると緊張で心拍数が跳ね上がった。頭の中ではいや違うよ? これはアレだよ? なんかムカつくしムカつくままこの場を去りたくないしっていうか道聞きたいから早く議論終わらせて、ってアレだよ? あと恩売っといたら後々便利じゃん? と言い訳をつらつらと並べてたてる。この男、他人に親切にしようとする時に素直になれないのである。だって優しい人って期待されると不便じゃん? やってくれると思ったのにみたいな目を向けられるし。
 絶対に気候のせいではない目まいを覚えながら近づいていく。上半身はガチガチにこわばっているのに、足元は真綿でも踏んでるんじゃないかってくらいにフワフワする。第一声は間違いなく裏返る。それでもどうにか息を吸って、最初の
「ようこそ人狼領地へ!債権払い切るまで、生かさず殺さず、踏み倒さない様しっかり見張り続けて下さい!よろしくお願いします!」
 は?
「ではまず、皆さんの衣食住の確保、一緒に頑張ります!」
 え? なに?? なんやなんやどゆこと? Re:MOKONは債務者の言葉に驚き、目を見開いてぽかんと口を開けている。どこからどうみても間抜け面。




 驚きは続く。話はまとまる方に向かってるようだ。
 ええぇえぇぇぇ? どういうこと? Re:MOKONには、まるで理解できない。普段ほとんど使わない脳をがんばって回し、なんとか考えてみようとする。え? ようはここ領地にして金返すから一緒に暮らして見張れ、ってこと?? 頭蓋骨内を乱反射するクエスチョンマークの嵐。
 混乱しながらも、農民の端くれを自認するものとして見逃せない単語がある。
 衣食住。特に食である。
 ......。だんだん不安になってくる。ぱっと見たところ、この集まりの中に農民らしき人はいない。あれだけ大口をきったんやから、債務者はまぁ衣食住の確保全部できるんかいな?
 いやまぁできんこともないやろけどでも......。改めて辺りを見渡す。砂、砂、砂、砂。
 突然だが、Re:MOKONは農民の端くれを自認しており、自然農法というものを学んでいる。
 この自然農法、不耕起直播で粘土団子に種を混ぜ込んで投げるだけという手軽さから、知識のない人間でも簡単に取り組めると思われる。そして開祖は砂漠の緑化活動をしていた。
 まぁ、なんだ。自分の知識と経験が生きるか、その実験場にちょうどいい。
 それに、この大神という人物にも興味がある。Re:MOKONも旅人の例に漏れず、好奇心が旺盛であった。この余裕しゃくしゃくの面がどうやって形作られているのか、今はそれが知りたくてしょうがない。あとなんじゃかんじゃこの表情の裏で困っているかもしれない。だったらそれも分かりたい。
 とりあえず、一歩を踏み出す。
 目まいもガチガチもフワフワもなかった。
 ニヤリと笑いながら声をかける。
「農業とかできますけど、手伝いましょうか?」
 この時、まさか自分が摂政に任命されるとは、夢にも思っていない。
 ちなみにRe:MOKON摂政の最初の仕事は、もう1人の摂政に「摂政ってあれっすよね。王様の代わりに政治する人っすよね??」と確認することであった。

つづく

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